直流電源の種類と選び方
ここでは直流の電圧や電流を出力する直流電源の種類について紹介します。
計測器検索.comのスペック検索では直流で出力される電源・信号源・電圧電流源・SMU・キャリブレータ等の中から
出力の大きさや設定分解能などから検索が可能です。
直流安定化電源の方式
一般的な直流安定化電源は大きく「シリーズレギュレータ方式」と「スイッチング方式」があります。
細かな技術的な仕組みはさておき、選定に関係する特徴だけお伝えします。
シリーズレギュレータはリニアアンプ方式やドロッパー方式と呼ばれることもあります
リップルの性能に関してはメーカーや製品によりrms(実効値)表記、p-p(ノイズ波形のpeak to peak)表記や
リップルの計測方法(周波数)など基準が変わる場合もあります。
また電流のリップルは電圧ほどの差は無いですがやはりシリーズレギュレータ方式の方が良いとされています。
シビアな性能を求める場合はスペックシートなどでの確認をおススメします。
CV動作/CC動作
CV動作(定電圧出力) CC動作(定電流出力)の意味です。
CV動作では負荷が変動した場合でも設定した電圧を保ち出力を続けます。=電流が負荷に追従して変化します。
もちろんこれは電源の定格出力範囲内に限ります。
CV/CC動作の例
・CV(定電圧動作) 電圧設定:5V 負荷:5Ω→1Ωに変化すると 出力電流:1A→5Aに変化
・CC(定電流動作) 電流設定:1A 負荷:5Ω→1Ωに変化すると 出力電圧:1V→5Vに変化
計測器メーカーの直流電源ではほとんどの製品でCV/CC動作は両方備えています。
電力容量タイプの直流電源
「100V/1A直流電源」といった電圧と電流の大きさで出力容量が決まっているのではなく
「100W」や「200W」というように電力で容量が決められている直流電源です。
ズーム電源やワイドレンジ電源、フレキシブルレンジ電源等 メーカーにより名称が変わります。
100V/1Aの電源も100Wですが基本的に定格の1Aを超える出力は出せません。
ですが電力容量タイプの100Wの電源であれば電圧が50V以下であれば2Aの出力が可能です。
100V/1Aの直流電源と100Wの電力容量タイプの電源では後者の方が価格は高くなりますが
複数の容量の直流電源を用意する必要がある場合に電力容量タイプの電源1台でカバー出来れば
結果的に低コストになる可能性があります。 (機種により可変範囲は異なります)
双方向電源
極性がマイナス出力(負極性)の電源と間違われる事がありますが双方向電源は直流電源としても電子負荷としても機能出来る製品です。
また多くの双方向電源では電子負荷として消費する電力を元の電力系統(AC)に返す「回生機能」を持っています。
一般的に回生電源と呼ばれる製品は双方向電源の機能を網羅していると言えます。
SMU(ソースメジャーユニット)
メーカーによりソースメータや計測電源など名称は様々です。
シンプルに言うと高精度な直流電源+電子負荷+DMMの機能を持った製品になります。
下記例のように1台で様々なテストに使用できます。
- ダイオードなどでは-極性~+極性の印加&計測 (I-V特性)
- バッテリーテストでは充電~放電&計測
- トランジスタなどでは2ch印加&計測(I-V特性)
- 低抵抗~絶縁抵抗の計測
- 電気化学分野でのC-V測定 等々
SMUのメリットは出力/計測の精度が良い事と、
1台あれば直流電源(信号源)、電子負荷、電流計測用DMM、DUT印加電圧計測用DMM、プログラミングソフトウェアなど
複数の製品を個別に用意する必要がなくなる事も大きなメリットです。
SMUの選定には
- 出力電圧/電流(電力容量)
- 出力の確度(設定分解能)
- 計測の確度(桁数・分解能)
- ch数
- グラフ表示ディスプレイの有無
- その他 アプリケーション機能やU/I
などの条件から選びます。
直流電源の種類別機能