微小電流 μAの計測は安いテスターでも出来る?

 

 

 

「んーーー・・・」

 

 

 

「今度はどうしたんだい?」

「お客様からμA(マイクロアンペア)の微小な直流電流が計測したいと言われたのですが・・・」

 

 

 

 

「うんうん。」

「ネットで検索すると色々と専用の計測器やノウハウ的な事が書いてあって・・・」

 

 

 

 

「μAは0.000001Aって事だからとても小さい電流だからね。」

 

 

 

「なんですがμAを計測出来る製品を色々と探してみると数千円のテスタでも測定出来ると書いてあるんですよ。

 分解能っていうのは計測した時に表示できる一番小さな桁の一番小さな「きざみ」ですよね。

 例えば下記テスタのレンジが600.0μAで分解能が0.1μAなら1μAでも計測出来ると思うんですが・・・」

 

 

 

 

 

 

「たしかにそれでもμAの表示が出来るね。」

 

「じゃあなんでμA計測用の計測器で数十万円の計測器もあったりするんですか?」

 

 

 

 

「なるほど!OK!

まず「μAの計測をする」と言ったときに、2つのパターンを考えた方が良いよ」

 

「①μAの分解能が必要なパターン」

「②μAの電流を計測するパターン」

 

? ?

「どちらも同じじゃないですか?」

 

 

 

 

「これは実は全然求められる計測器が違うんだ。

まず①の「μAの分解能が必要なパターン」はルーキー君の調べた通り、数千円のテスタでも条件を満たせる可能性はありそうだね。」

 

 

「満たせない可能性もあるという事ですか?」

 

 

 

 

「そうなんだ。

判断するポイントは2つ。

何Aの電流を計測する時にμAの分解能が必要なのか? と

分解能の信頼性の2つ。」

 

「あ、たしかにそうですよね。ぼくが調べたテスタは600μAのレンジで0.1μAの分解能でした。」

 

 

 

 

「もしお客様が測定する電流が600μA以下ならそのテスタで条件を満たした計測ができ・・・」

 

 

「る!!」

 

 

 

 

 

「かもしれない。」

 

「え、、、」

 

 

 

 

「分解能の精度(信頼性)の問題もあるんだ」

 

「精度?信頼性?」

 

 

 

「そう。これについては精度や確度や不確かさなど色々な表現や厳密には違いがあるんだけれど

ここでは直感的に分かり易い「精度」というワードで進めるよ。」

 

「今回のテスタは最小分解能が0.1μAだけどそれはあくまで表示しているだけでその値が正しいかどうかは別の話なんだ。」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

 

 

「ちなみにそのテスタの0.1μAの桁の精度はどれくらいだと思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「難しい質問ですね!(笑)」

 

 

 

 

「たしかにそうだね(笑)

簡単に言うと最小桁の信頼性は0で思っていていいと思うよ。」

 

 

「信頼性0ですか?」

 

 

 

 

 

「そうなんだ。製品によって違いはあるけど少なくても10digit(10カウント)くらいの誤差は含まれていると思っておいた方がいいよ。」

 

 

「10digit(10カウント)ってことは0.1μAが分解能の場合は0.1μAが10カウント分で1μAの誤差があるってことですね。」

 

 

 

 

 

「その通り。詳しいお客様ならこの辺の誤差も踏まえたうえで分解能の指定をする人もいるけどね」

 

 

 「じゃあ今回の場合は1μAの桁の信頼性はあると思って大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 

「それも製品によって違うので一概には言い切れないけど・・・

結局お客様がどこまでの誤差を許容できるかっていう問題があるから難しいんだ。」

 

 

「答えは無いんですね。」

 

 

 

 

 

「そうだね。計測器の仕様をきちんと見ないと正確な回答はここでは出来ないんだ。

きちんと信頼出来る計測器であればその誤差を計算する方法がきちんとカタログなどに明記されているよ。

レンジ誤差や読み値誤差なんかがそうだね。」

 

SIGLENT社 DMMデータシート抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は説明を省くけどそんなに難しくないからまた今度説明するね。」

 

「わかりました。でもモヤモヤするなぁ。。。」

 

 

 

 

 

「そうだよね。

なので、今回あえて答えを出すとすると少なくとも最小桁はほぼ誤差と考える。」

 

「その次の桁から信頼出来る可能性があって、正確な計測を求める場合は出来ればさらに次の桁から信頼する。

くらいがおおよそ今日の結論かな。」

 

「わかりました。

 最低1桁~2桁は余分な分解能を持っていた方が良いってことですね。」

 

 

 

 

 

「そうだね!

次に②のμAの電流計測をするパターン。」

 

「①の話を聞くとハードルがすごく高そうですね。」

 

 

 

 

「そうなんだ。

①を理解すればこれを正確に計測するハードルが高い事が分かるね。」

 

「①と同じ話だけど1μAを計測する時にどの位の変化まで正確に計測する必要があるのかで変わってくるね。」

 

 

「正確に計測したい桁数よりもさらに1桁、または2桁の分解のを持つ計測器が必要なんですよね。」

 

 

 

 

「その通り!

例えば計測値が5μAくらいで 5.00μAくらいの桁までの変動を見たいとする。

その場合には少なくとも5.000μAまたは5.0000μAまでの分解能を持った計測器が必要だという事になるよ。」

 

 

「5.0000μAの計測器の分解能は100pA(ピコアンペア)ですね。」

 

 

 

 

「そうなるとやっぱりかなり高性能な計測器が必要になるって事だね。」

 

 

「なるほど。ぼくが最初に見ていた数千円のテスタでは全然だめですね。」

 

 

 

 

 

「そうなんだ。同じ「μAの計測がしたい」でもここまで違いがあるから注意をしないとね。」

 

「わかりました!」

 

 

 

 

「さらに突き詰めると微小な電気の測定にはノイズ対策や計測器を回路にいれる事への影響、プロービング方法など高度なノウハウが必要になるんだ。」

 

 

「それは、、、きっと覚えられません。」

 

 

 

 

「そうだね。そこは本当に難しいからまず適切な計測器を見つける事が第一歩としよう!」

 

 

「そうします!」

 

 

 

 

「で、そんな時にも計測器検索.comが役に立つよ

 

今 話した「計測したいおおよその値」と、分解能の誤差を理解した上で「分解能」を入力すればそれに合う計測器がピックアップ出来るよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の最後の例だと、計測値に「5μA」を入力して分解能に「100pA」を入力すれば最適な計測器の候補が出てきますね。」

5μAを100pA分解能で計測 

 

 

 

 

「その通り!

今回は直流電流のお話だったけど、直流、交流、電圧、抵抗なんかも同じように検索できるから便利だよ。」

 

 

「検索結果にDMMがたくさん出てきているんですけどこの6.5桁とかってどういう意味ですか?」

 

 

 

 

 

「良い質問だね。じゃあ次回はDMM(デジタルマルチメータ)の桁数について説明するよ!」

 

 

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