スペアナを理解するなら音で考えるとちょっとだけわかりやすい

 

お客様からスペクトラムアナライザを紹介してほしいって言われたんですが・・・

 

 

 

 

いいね!

でもその様子だと何か困っている?

スペクトラムアナライザってすごく難しい気がしていて・・・

 

 

 

なるほど。

たしかに奥の深い計測器ではあるけれど、ざっくりとした概要はオシロスコープよりもイメージし易いんじゃないかな?

 

そうなんですか?

 

 

 

 

じゃあどんな計測器なのか簡単に説明するね。

まずはスペクトラムアナライザ(=シグナルアナライザ)は周波数の高い電力を周波数ごとの強さに分解して表示する計測器だよ。

表示方法は縦軸が電力の強さで横軸が周波数。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縦軸は分かり易いんですが横軸が周波数っていうのが少し分からなくて・・・

 

 

 

 

そうだね。オシロスコープを知っていると横軸周波数は不思議な感じがするかもしれないけど

基本的な概念は難しくないから大丈夫。

 

今回の説明ではイメージをしやすいように電力を音に喩えてみるね。

 

低い音は周波数が低くて高い音は周波数が高いっていうのは分かるよね。

その音の高さ(音程)と音の大きさを画面上に表しているだけなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それだけですか?

 

 

 

基本はこれだけ。

あとはこれをどれだけ正確に計測出来るかがスペアナの性能になるよ。

ふむふむ。なんか分かりそうな気がしてきました。

 

 

 

スペアナに求められる性能や正確な計測の為に重要な事は主に3つ。

①どれだけ高い周波数の音を計測出来るか?

②どれだけ小さい音を計測出来るか?

③音程をどこまで分解して計測出来るか?

 

もしかして簡単ですか??

 

 

 

 

でしょ?

1つめの音の高さは本当に簡単だね。

ドレミファソラシドの1オクターブの範囲を計測出来る物より、何オクターブも計測出来るスペアナの方が高性能になるよ。

 

低い方の音はどうですか?

 

 

 

 

スペアナは低い音(周波数の低い電力)の計測は苦手なんだ。だからほとんどのスペアナが9kHz以上とかで下限が決まっているよ。

それよりも低い周波数の計測したい場合は別の計測器になるので今回はスルー。

 

わかりました!

 

 

 

 

2つ目はどれだけ小さい音(電力)を計測出来るか。

 

これも分かる気がします!小さい音を拾えるマイクの方が高性能!みたいな感じですか?

 

 

 

 

うーん、、、△かな??

少し補足するとスペアナは元々ものすごく小さな音(電力)を計測する事が得意なんだけど、

それ故に自分から出るとても小さな音(電力ノイズ)を自分で拾ってしまうんだ。

 

スペアナ自身から音(ノイズ)が出ているんですか?

 

 

 

 

そうなんだ。

だからマイクの性能と言うよりかは自分から出てしまう音(ノイズ)が小さければ小さい程、

外から来た小さい音(電力)を計測出来るんだ。

この自分から出る音(ノイズ)をノイズフロアと言うよ。

なるほど!自分から出る音(ノイズ)であるノイズフロアよりも大きい音じゃないと

マイクで拾っても自分のノイズに埋もれてしまうという事ですね。

 

 

 

 

ばっちりその通り!

 

じゃああとは最後の③どれだけ音の周波数を分解して計測出来るか?はどういう事ですか?

 

 

 

 

これはスペアナが音を計測した場合にどれだけ細かい音程(周波数)に分解するか?という設定の事で、RBWと言うよ。

 

RBWが大きいスペアナはドレミファソラシドを聞き分けられて、RBWが小さい(細かい)スペアナは

ドとレの間の黒鍵の音も分かる。みたいな感じですか?

 

 

 

 

すごいね!その通り!もっと言うと「ド」から「レ」までを何十個とかに細かく分けて

それぞれの音程(周波数)と音の大きさをはっきりと表示する事が出来る。みたいな感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分かってきました!

例えばもしこれがピアノの「ソ」のテストだとしたらどれだけきれいな「ソ」なのかを見ているってことですね?

本当は「ソ」の音(周波数)だけを出したいけれど「ソ」よりもちょっと高い音やちょっと低い音をスペアナで見つけれているという事ですね!?

 

 

 

 

電力だとその通り!

例えば2.4GHzのWi-Fiモジュールを作るときには2.39GHzや2.41GHzの電波は出したくないからね。

 

これで何となくスペアナの基礎と何をしているかはわかったんじゃない?

 

はい! 測定する周波数の範囲の「周波数レンジ」、自分から出てしまう電力ノイズの「ノイズフロア」、

周波数を細かく分解して計測出来る「RBW」この3つが重要な性能という事がわかりました。

 

 

 

 

1つだけ補足!

RBWについては計測する時の設定という部分が大きいから性能とは少し違うんだ。

10万円のスペアナでも500万円のスペアナでもRBWの性能はそこまで変わらない。

 

スペアナの「性能」と言う意味ではRBWを細かく設定したときにスペアナ上に波形を作るスピードである「掃引速度」の方が性能だね。

 

RBWを小さくして細かい周波数ごとに分けてスペクトラムを表示させるとどうしても測定ポイントが多くなって

スペアナが1回波形を作る時間「掃引速度」が長くなってしまうんだ。

 

なるほど!じゃあRBWを細かく設定しても それを早く表示出来るスペアナが高性能っていう事ですね。

 

 

 

 

その通り。

それから掃引速度だけでは無くノイズフロアなんかもRBWの設定や測定する周波数によって変わるので

カタログなんかで比較するのが少し難しいのがスペアナなんだ。

 

やっぱりスペアナは難しいのか・・・

 

 

 

 

でも基本が①の周波数レンジなのは間違いないよ。

基本的にスペアナは周波数が高くなればなるほどそれに連なってその他の性能は上がっていく傾向にある。

だからまずは今まで話したスペアナの基本を頭に入れながらお客様に必要な周波数範囲を聞くのがとても大事な第一歩。

 

わかりました!まずは周波数レンジを聞くようにします!

 

 

 

 

そうだね!!

計測器検索.comならお客様から聞いた周波範囲を入力すれば提案製品の候補がすぐに出てくるよ。

 

 

 

複数メーカーの製品や価格情報も載っていますね。

計測器検索.comのオプションの所に「リアルタイム」や「トラッキングジェネレータ」などが

 

ありますがこれは何ですか?

 

 

 

 

リアルタイムと言うのは波形を取り込む方式の事で、トラッキングジェネレータはスペアナから信号を出力するオプション。

どちらも良く使うものだからまた次回に説明するね。

 

そんなに難しくないから大丈夫!!

 

今日のレベルならきっとわかります! よろしくお願いします!

 

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