計測器営業マンが教えるオシロスコープの選び方

このコラムは、これからデジタルオシロを使おうとされている方や、初めて導入を検討されている方、なんとなく

使っているけれどもう少し詳しく知りたい、といった初心者から中級者の方々への入門的なものになっています。

 

 

 

目次

  1. はじめに
  2. チャンネル数
  3. 周波数帯域
  4. サンプリングスピード
  5. 垂直分解能
  6. メモリ長
  7. 波形更新速度
  8. 入力インピーダンス
  9. トリガ回路
  10. その他の機能
  11. プローブについて
  12. 最後に
  13. 効率の良いオシロスコープの探し方

 

 

 

 

1.はじめに

はじめに少しうんちくを・・・

むかし、むかし、アナログオシロスコープ がありました。入力信号に応じて電子管から出た電子ビームが

ブラウン管(蛍光面)に衝突して発光し、リアルタイムに波形を表示していました。同じ形の波形が繰り返し

入力されて、その波形を電子ビームが描きます。そのため描き出す場所を同じにすれば波形は止まって表示

します。波形の発生頻度が高ければ明るく表示して、低ければ暗く表示します。単発信号の場合は一瞬波形

を表示しますが消えてしまいます。複雑な自動計測やPCに波形データを転送する事がでませんでした。

電子部品でのスイッチング特性、過渡現象等 単発信号を見る必要が増え、また測定信号が複雑になって、

「職人技」のアナログオシロで波形を観測できなくなってきました。またブラウン管の生産が激減しました。

 

そこでデジタルオシロスコープの登場になります。

 

周期性のある信号は、アナログで、過渡現象/単発信号をみるのにはデジタルで、という時代もありました。

デジタルオシロが出た当時、画面更新スピードは特に話題になりませんでした。

(過渡現象/単発信号をとるのだから)

 現在では、アナログオシロは、ほぼなくなり、デジタルオシロで全てやってしまおう!ということで、限り

なくアナログオシロの性能も残しつつも、トリガシステム、各種演算、解析、画面処理・更新スピード、

低ノイズ化認証試験対応等々、進化した現在のデジタルオシロの世界になっています。

 

では本題です。デジタルオシロスコープを選択・使用するにあたっての注意点等のご紹介です。

 

 

 

 

2.チャンネル数

これは呼び名の通り入力チャンネル(ch)数になります。2チャンネル,4チャンネル,8チャンネル等モデル

があり、目的によって必要なモデルを選んでいただくことになります。後で出てきますが、チャンネルごとに

サンプリングスピードやメモリ長が割り当てられている物、4チャンネルモデルで2チャンネル使用時には

サンプリングスピードやメモリ長が変わるもの等ありますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

3.周波数帯域

これはオシロスコープの入力部分のアンプの特性になります。

注意点は1GHzの周波数帯域のオシロスコープでは1GHzの信号を正確に測定できないということです。

 

 

 

周波数帯域とは入力した周波数の振幅に対し3dB(電圧で約70%)減衰する周波数のことを言います。

たとえば1GHz周波数帯域のオシロに1GHzのサイン波を入力しても約30%減衰しています。

誤差3%に抑えるには、測定する最高周波数成分の3倍~5倍の周波数帯域のオシロが必要です。

 

またパルス波形測定の場合は、別の観点から検討が必要です。立ち上がりが0秒のパルス波があった

としても、オシロスコープでは物理的に0秒で表示できない限界があります。オシロスコープ自身が

持っている立ち上がり時間という性能でおよそ次の式になります。

立ち上がり時間 = 350 /f (MHz) nsec} f:オシロスコープの周波数帯域 

たとえば、周波数帯域350MHzのオシロスコープの場合は、立ち上がり時間は1n秒になり0.5n秒の

立ち上がり信号を入力しても1n秒と測定されてしまいますので注意が必要です。

 

 

 

 

 

4.サンプリングスピード

サンプリングスピードとは、上記のアンプを通過したアナログ信号をデジタルに変換するADコンバータの性能

になります。例えば1GS/sとは1秒間に1G回サンプリングするという事です。1GHz = 1,000,000,000Hz

ですので、1秒間に1,000,000,000回サンプリングするという事です。測定に必要なサンプリングスピードは

測定周波数の成分の10-25倍以上のもを選ぶのが良いとされています。サンプリングスピードが足りないと、

サンプリング間隔があいてしまい、元の波形を再現できなくなり、まったく違った波形を表示してしまう可能性が

あります。

 

 

 

 

 

記事の途中ですがここで

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では本編に戻ります↓

 

 

 

 

5.垂直分解能

垂直分解能とは、ADコンバータの縦軸(電圧軸)の分解能の性能になります。   

一般的なオシロスコープでは8ビットから12ビットのモデルが多いようです。縦軸の分解能はそれぞれ

8ビットは               2^8(2の8乗)  =256

10ビットは          2^10 (2の10乗)=1024

12ビットは            2^12 (2の12乗) =4096 

 

 

たとえば、8ビットのモデルでも縦方向画面の半分しか使っていなければ、その波形は7ビットの分解能となってしまい

ます。なお、このビット数はADコンバータ自体の数字になりますので、オシロスコープ内部には多くの回路・部品があり

本体のノイズ成分等に埋もれて、システム全体ではビット数が低くなります。

この実際のビットの性能のことを有効ビット数といい、ビット数も大切な仕様ですが、有効ビット数も重要なファクターです。

 

各オシロメーカーでは、HDモードやハイレゾモードと呼んでいますが、実際の垂直分解能より高分解能で測定できる機能

があります。8ビット垂直分解能+ハイレゾモード16ビット相当等と呼んでいるのがそれです。ある時間軸設定で測定中

のサンプリングレートよりADコンバータの最高サンプリングスピードが速い場合、その余ったサンプリングポイントを

平均化演算することによって縦軸の分解能が向上するというものです。

ただし、このHDモードやハイレゾモードを使用する場合は、周波数帯域に制限がかかります。メーカにもよりますが、

8ビット時では周波数帯域に制限はありませんがこれらのモードでは周波数帯域が狭くなってきます。

 

 

 

 

 

6.メモリ長

上記ADコンバータでサンプリングされたデータが格納されていく場所になります。

メモリ長が長い方がより長い時間を取り込めますし、取り込み時間固定した場合、サンプリング間隔を狭く維持できます。

 

 

注意点としましては、オシロスコープのチャンネル当たりのメモリ長です。メーカや機種によって記載方法に違いがあり、

注意が必要です。4CHオシロの場合、4CH合計の最大メモリ長で記載している製品もあれば、各チャンネル当たり

メモリ長を記載している場合もあります。たとえば、4CHオシロの場合で「最大メモリ100Mポイント」と記載の場合は

1CH使用時に100Mポイントで、2CH使用時ではその半分の50Mポイントとなったり、4CH使用時でも全CH

100Mポイント使用できるものもあります。

 

 

 

 

 

7.波形更新速度(波形更新レート)

デジタルオシロスコープではアナログオシロスコープのいい点も維持するため、画面更新スピードも重要な性能です。

冒頭でもお話しましたが、アナログ・オシロスコープは、画面上でほぼ全ての波形を観測しています。ブラウン管の画面に

は、自然な残光が残り、不具合信号を素早く捕捉することがでていました。

 

デジタルオシロスコープには、入力信号を取り込んで信号処理をして、表示し、次の入力信号を取り込む間にデッド・タイ

ムと呼ばれる波形取り込みをしていない時間が存在します。このデッドタイムは全体の90%以上という場合もあります。

このデッドタイムをより小さくするため、波形更新速度が高速であればあるほど有利になります。

 

画面で、1秒に一回捉えれた場合でも、1万回更新のオシロであれば理論上100秒に1回しか捉えられないので、異常波形を

発見するのが難しくなります。超ロングメモリで一回のトリガでデータを取ることができれば、画面更新なしでデッドタイムはゼロに

なりますが、現実には無理でしょうね。

 

 

 

 

 

 

8.入力インピーダンス

入力インピーダンスを1MΩ50Ωで切り替えることができるモデルがあります。

標準プローブを使って測定の場合1MΩ入力を使います(機種によってはプローブを接続すると自動設定します)。

 

高周波信号を測定する場合やアクティブプローブを利用する場合は、50Ω入力インピーダンスで測定を行います。

汎用モデルではこの50Ω入力がないものもありますので、機種選択時には注意が必要です。また1MΩ50Ω

で周波数帯域の仕様が違う場合もありますので、注意が必要です。(たとえば50Ω1GHz1MΩ時は500MHz等)

入力インピーダンスを1MΩ(標準で付属しているプローブも)で使う主な理由は、測定物(DUT)のインピーダンス

が不明なときなどオシロスコープ側に電流が流れて測定物(DUT)が誤動作をすることを防ぎます。

 

入力インピーダンスを50Ωで使う理由として、測定物(DUT)出力インピーダンスが50Ω時にインピーダンス整合を取

りオシロスコープからの反射を防ぐためです。

 

 

 

 

 

 

9.トリガ回路(機能)

オシロスコープに信号を入力しただけでは波形が止まってみえません。この信号を止める事をトリガをかけるといいます。

この機能は全てのオシロスコープにありますが、機能的に各メーカ・モデルによってできること、できない事があります

ので、オシロスコープ選択の際の目安にしてください。たとえば、あるパルス幅の時だけトリガをかけるといった単純なも

のから、シリアル通信でのトリガ、オシロの画面でエリアを指定してそのエリアを横切ったらトリガをかける等、希望に

そったトリガ機能搭載のオシロスコープがあると思います。

 

 

 

 

 

10.その他の機能

最近のデジタルオシロスコープは各メーカのカタログにも機能がたくさん載っていて悩んでしまいますよね。

そのオシロスコープの機能100%使いきるというのはなかなか難しいと思います。基本性能はもとより他にFFTがいい、

演算機能、ジッタ解析、ヒストグラム、自動測定、リモート制御、認証試験等々あります。また操作性やデザインなども

選択肢の一部となります。大切なのは、皆さんが測定される信号がどういったものかをご自身で把握される事ですね。

 

 

 

 

 

11.プローブについて

今まではオシロスコープ本体のお話でした。もう一つ重要な事は、オシロスコープにどうやって信号をもってくるか?

という事です。せっかくいい性能のオシロスコープでも入力部分まで正確な信号が来ないと宝の持ち腐れですね。

そのプローブについて少しお話をしますが、プローブの話だけでこのコラムと同じくらいのボリュームになるで、

詳しい話は次の機会にでも。

簡単に申しますと、ポイントはプローブもオシロスコープと同様な測定器という考えです。

一般的にはオシロスコープに標準で付属されているプローブで測定しますが、測定する周波数や電圧、電流等によって

いろいろな種類のプローブがあります。本体もしくは外部から電源を供給するアクティブプローブや高電圧プローブ、

絶縁タイプ等々たくさんの種類があります。オシロスコープメーカが自社専用の各種プローブを販売しています。

言い換えるとA社のオシロにはB社のプローブは使えない ということもありますので、オシロスコープを選定される場合

プローブの選定もあわせて必要になってきます。

 

 

 

 

 

12.最後に

各メーカの取扱説明書は必ず目を通してください。

特に設置場所や使用電源等安全にお使いいただく上での注意点は重要でございます。また新規ご購入のオシロスコープ

は問題ないかと思いますが、以前から使用されているオシロスコープは校正されていますか?明らかな故障・電源が入ら

ない等であればまだいいのですが、動作はしているが測定値が正しくない場合が、ごくまれにあったりしますので測定前

には確認をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

13.効率の良いオシロスコープの探し方

周波数帯域やch、サンプリング速度など 必要な項目を入力するだけで候補製品を簡単にピックアップ

 

 

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