このページはファンクションジェネレータについての基礎を初心者向けに解説し、機種選定のコツをまとめたページです。
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それでは本題へ
【 目次 】
ファンクションジェネレータはFGとも呼ばれDC~MHzオーダーの電圧信号を出力する計測器の一種です。
ハイスペックな物ではGHzまで対応できる製品も出てきました。
交流の信号を出力する計測器はシグナルジェネレータや任意波形発生器、AWG、パルスジェネレータなど名称や呼び方が様々ですが簡単に違いをまとめてみます。
①ファンクションジェネレータ(FG)
サイン波、三角波、矩形波やパルス波などを周波数や電圧を変えて出力します。
電圧で出力します。
②任意波形発生器(AWG)
ファンクションジェネレータに加え、ユーザーが自由に波形を生成して出力出来る機能を持っています。
電圧で出力します。
③パルス/パターンジェネレータ
高速の立上り信号が必要な場合やロジック信号を出力します。
電圧で出力します。
④RF/マイクロ波アナログシグナルジェネレータ(アナログSG)
CWやAM、FM変調など、アナログ信号を出力します。
電力で出力します。
⑤ベクトルシグナルジェネレータ または デジタルシグナルジェネレータ(ベクトルSG/デジタルSG)
ベクトルもデジタルも同じ意味です。
携帯電話や無線LAN、デジタル通信の信号を生成・出力します。
電力で出力します。
なお①②③はワンボックスに集約され、1つの製品としてファンクションジェネレータとして販売されている物もあります。
また④⑤でも①②③の機能を持っている物もあります。
近年のファンクションジェネレータではほとんどのモデルで任意波形機能を有しています。
ファンクションジェネレータを販売しているメーカー、ブランドは下記があります。
キーサイト・テクノロジー KEYSIGHT
テクトロニクス Tektronix
テレダイン・レクロイ Lecroy
シグレント SIGLENT
横河計測 YOKOGAWA
岩崎通信機 IWATSU
NF回路設計ブロック NF
テクシオ・テクノロジー TEXIO
インステック GW INSTEK
オウオン OWON
リゴル RIGOL
アクティブ・テクノロジー Active Technologies
等々
ファンクションジェネレータの機種選定をする際に最初にチェックする項目です。
「正弦波」で何Hzまでの信号が出力できるか?というスペックです。
パルス波や任意波形など、正弦波以外の波形では出力できる周波数が下がりますので注意が必要です。
仕様書にはそれぞれの波形とその波形で設定可能な周波数範囲が記載されていますので正弦波以外で使う場合は必ずチェックする必要があります。
ファンクションジェネレータが有している出力chの数です。
最近は2chのものがスタンダードになってきました。
また、0-1のデジタル信号出力を持ったファンクションジェネレータもあります。
記事の途中ですがここで
計測器検索.comでは必要な数値を入力すればそれに合った計測器がピックアップされます。
ファンクションジェネレータが出力できる最大電圧のスペックです。
仕様書では下記のように記載されています。
10Vp-p(50Ω)
20Vp-p(開放・Open・ハイインピーダンス 等)
これはファンクションジェネレータが出力できる最大電圧の大きさで、波形の一番下から一番上までの振幅の大きさをp-p(ピークtoピーク)で表しています。
また( )の中の50Ωというのは入力インピーダンスが50Ωの対象に出力した場合の値です。
開放やハイインピーダンスというのは高いインピーダンスの回路で使用した場合の数値です。
ここで簡単にこのインピーダンスについて説明します。
まず電気信号のやりとりでは入力のインピーダンスと出力のインピーダンスを同じ値に合わせる事で最も効率良く信号を伝送できます。
高周波の世界では50Ωという伝送インピーダンスの基準が多く使われており、ファンクションジェネレータもそれに合わせて設計されている為、出力インピーダンスが50Ωにされています。
下記のようにファンクションジェネレータは入力インピーダンス50Ωの負荷を接続した場合に設定した電圧になるように設計されています。
お気付きかもしれませんが上記回路図では設定電圧と出力電圧に差が出る事になります。
上記回路図を書き直すと、
念の為 Ωの法則を使って計算すると
入力インピーダンス(抵抗)50Ωの両端の電圧が10Vだった場合、流れる電流は0.2Aです。
回路の合成抵抗100Ωに0.2Aを流す為には電源電圧は20Vでないといけません。
以上の事から仕様書に書かれている「10Vp-p(50Ω)」というのは(50Ωの出力インピーダンスのファンクションジェネレータが)50Ωの負荷に接続した場合の最大振幅という意味になり、内部では設定電圧の2倍の電圧が発生しているという事がわかります。
ここまでが理解できれば、仕様書の「20Vpp(開放、ハイインピーダンス)」と書かれてる部分についても簡単です。
出力先(負荷)の入力インピーダンスが50Ωでは無く、もっと高いインピーダンスだった場合の電圧です。
出力を10Vに設定した場合でも、ファンクションジェネレータ内部では20V発生しているというのは先ほどの説明通りですので、
入力インピーダンス1MΩの両端の電源電圧は、、、
これが 仕様書に書かれている 「20Vpp(開放、ハイインピーダンス)」の意味です。
ちなみにオシロスコープの入力インピーダンスは1MΩです。
オシロスコープでファンクションジェネレータの波形を見ると2倍に見えるのはそっくりそのままこの理由です。
インピーダンスの説明が少し長くなりましたが、この最大振幅の仕様で見落としがちなのが、これはあくまで最大の出力レベルという事です。
例えば最高周波数が20MHz、 最大振幅が10Vpp(50Ω)のファンクションジェネレータがあったとします。
しかしこれは最高周波数の20MHzで出力した場合に10Vppで出力できる訳ではありません。
多くのファンクションジェネレータでは最高周波数で出力する場合には最大振幅の1/5~1/10に下がってしまいます。
これは設定した電圧が大きい程、電圧を上げたり下げたりするのに時間ががかかるので仕方のない事ですが機種選定時には注意が必要です。
仕様書には周波数とその時の設定可能な最大電圧が記載されていますので確認をおすすめします。
垂直分解能などとも呼ばれます。
理想的な信号を出力させるためにはどれだけ細かく電圧(縦軸)を分解出来るかは重要な要素です。
またなめらかな波形を再現する為にも電圧の分解能はとても重要になります。
電圧分解能は14bitや16bitというようにADコンバータのbit数で表されます。
例えば10Vppフルスケールの場合12bitの場合は10V÷4096で約2.4mVきざみの分解能、
14bitの場合は10V÷16384で約610μVきざみの分解能、
16bitの場合は約153μVきざみの分解能、というように細かく分解して波形を作る事が可能です。
「そんなに細かく設定する事は無い」と思われる方もいらっしゃると思いますがユーザー自身で波形の値を入力する時ではなく、FG自体が波形をなめらかに出力する為にも電圧分解能は重要なスペックになります。
一段一段が大きな階段になるとなめらかな移動は出来ません。
設定した電圧に対してどの程度の誤差が出てしまうか?の値です。
一般的には 設定値の±(〇%+〇mV) などの形で表現されることが多く、例えば ±(1%+5mV)の仕様の製品で5Vで出力した場合には±55mVが誤差範囲となります。
ファンクションジェネレータでは最高周波数やch数が一番分かり易く性能が分かる仕様ですが、電圧の確度も信号品質に重要な要素です。
ファンクションジェネレータで波形を生成する際に1秒間に作れるサンプルポイントを〇〇Sa/sというように数値で表します。
時間軸に対してどれだけたくさんのサンプルポイントを置けるかによって理想の波形に近い信号を出力出来るようになります。
これはなめらかな波形を出力する為に、任意波形以外の出力時でも重要な項目です。
また、電圧分解能が高くてもサンプルレートが低いとその性能を活かしきれません。
任意の波形を作る際に保存出来るポイント数です。
波形長とも呼ばれます。
この値が大きければ大きい程 任意の長い波形を作る事が出来ますし、複雑な波形や、細かな設定・微調整が必要な信号もサンプルレートを落とさずに忠実に作成する事が可能です。
同じ波形の信号を複数回 出力した際の時間的な「ずれ」の性能です。
理想は何百回、何千回と波形を出力してもぴったりと波形が重なるのが理想ですが、実際には若干のずれが生じてしまいます。
これをジッタと呼びps(ピコセカンド)などの時間で仕様化されています。
とくにデジタル通信などの時間にシビアなテストでは重要な項目です。
この値が小さければ小さい程 性能の良いファンクションジェネレータと言えます。
出力をパルスで0V→5Vに電圧を設定した場合でもぴったり5Vでは止まらず、一瞬だけ5Vを超える電圧になり、その後5Vに落ち着きます。
この現象をオーバーシュートと呼び、カタログや仕様書で仕様化されています。
オーバーシュートは設定値に対して何%という表現方法で仕様化されている事が多いです。
オーバーシュートが設定値の5%の製品の場合、0V→5Vのパルスを出力すると最大で5.25Vまで上がる可能性があります。
設定したレベルに到達するまでの時間をns(ナノセカンド)で表す「立ち上がり時間」も重要な項目です。
しかし仕様化する条件の電圧値や、到達したと判断する閾値(%)が各社統一されておらず、記載していない製品もあるので比較が難しいです。
何Vに設定した時にその設定電圧の何%に達した時の時間なのかを理解する事が大切です。
「立ち上がり時間:10㎱ *50Ω 10Vpp 90%」 と記載されていたら9Vに到達するまでの時間という事になります。
その他にも ファンクションジェネレータにあらかじめプリセットされた複数種類の波形が内蔵されおり、目的に合う波形があれば簡単にテストができ便利です。
機種にもよりますが数十種類から数百種類のプリセット波形が準備されている製品があります。
また各種変調機能や任意波形ソフトウェアの使い勝手なども重要な機種選定のポイントとなるでしょう。
計測器全般に言える事ですが、計測器の使用用途や目的は様々ですので最適な製品はユーザーにより変わりますが、ここではこれまでの機種選定のポイントを踏まえ性能とコスト両方のバランスを考慮したおすすめ機種を紹介します。
周波数帯域は40MHz、80MHz、120MHz の3モデル
全モデル2ch出力
最高サンプルレート:1.2GSa/s
16bit ADコンバータ
電圧確度:±(1%+1mV)
ジッタ:<150ps
任意波形メモリ 8Mポイント
内蔵波形:196種類
ここまで見ると数十万円してもおかしくない性能ですが・・・
素晴らしいコストパフォーマンスです。
もう1機種
全モデル 2ch出力 周波数帯域は 10MHz~60MHz
14bit ADコンバータ 最高サンプルレート 300MSa/s
任意波形メモリ 8Mポイント 5種類の変調機能
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