近年、オシロスコープメーカー各社から 12bitなどの高分解能ADコンバータを搭載したオシロスコープが次々とリリースされています。
これは部品や回路の低電圧化で需要が大きくなっている事が関連しますが、本当に高分解能のADコンバータを搭載していれば 小さな信号や電圧の変化を捉える事が出来るのでしょうか?
実は高分解能ADコンバータを搭載しているだけでは 正確に計測出来ていない可能性があります。
この記事ではその理由を説明します。
【目次】
高分解能測定には「高分解能ADコンバータ」 + 「低ノイズ」 が必須です!!!
オシロスコープに何も接続せず、信号が入力されていない状態であれば 下記のように 0V のまっすぐな直線波形がディスプレイに表示されるべきです。
しかし実際には僅かですがノイズが含まれており拡大すると波形の直線が太く見えるようになります。
本当に完全な0VであればいくらV/divを拡大しても波形の太さは変わらず細い1本の線であるべきです。
これはオシロスコープ自身から発生しているノイズで電子機器である限り完全に0にすることは不可能です。
しかしこのノイズがどの程度のレベルで発生しているかが、今回の重要なポイントです
多くのオシロスコープでは数百μV~mVレベルのノイズが波形に乗ってしまっています。
たとえばmVレベルのノイズフロアのオシロスコープが12bitの高分解能ADコンバータを搭載していた場合を考えてみましょう。
12bit (信号を4000分割で計測) の最小分解能よりも大きなノイズがオシロスコープ自身から発生していては高分解能ADコンバータは全く意味がありません。
下記は8bitと12bit、ノイズの大きいオシロと小さいオシロそれぞれのシミュレーションです。
12bitのADコンバータでもオシロ自身のノイズが大きいと、測定対象の小さな信号の変化がノイズに埋もれてしまい見えていません。
「12bitは必要だけど うちは10Vくらいの大きな信号を見るから ノイズは気にしない」
と 思う方もいるかと思いますが オシロのノイズの仕様は各社最小になるレンジで仕様化している事が多く、入力レンジ(V/div)が大きくなるにつれてノイズも大きくなるので注意が必要です。
また仕様化している条件も様々で
どの「入力レンジで」どの「周波数帯域で」のノイズ性能化をきちんと理解する事が重要です。
ハイレゾモードは一種のアベレージングなのでノイズを小さく出来ますが周波数帯域が落ちています。
ハイレゾやアベレージングの仕組み、メリット・デメリットについては
アベレージング? ハイレゾ? オシロスコープでの高分解能化とノイズ平滑化
で説明しています。
カタログやデータシートにノイズ性能が書かれていないオシロはノイズが大きい「傾向」にあると考えて良いでしょう。
このノイズを簡単に計測、確認する方法があります。
オシロスコープに何も接続せずに メジャー機能で「RMS」や「Stdev」を使えば確認が可能です。
低ノイズ&高分解能のおすすめオシロスコープはSIGLENTの「SDS2000X HD」です。
SDS2000X HD は12bitのADコンバータ搭載でノイズは70μVrms以下です。
このADコンバータとノイズレベルであれば小さな信号の変化も正確に捉える事が可能です。
SDS2000X HD と同等のノイズフロアを実現しているオシロスコープは他にもありますが 数百万以上する事が普通です。
対して SDS2000X HD は ¥554,400~と非常にコストパフォーマンスに優れています。
また ノイズ&分解能以外の性能も優秀で 最高サンプリングは2GSa/s、レコード長も最大200Mptsなど必要十分な性能を備えています。
オシロスコープはメーカーや製品により特長や思想があり、目的に合わせて最適な製品を選定する事が重要です。
計測器検索.comでは必要な周波数帯域やch数を入力する事によりオシロスコープはもちろん、ファンクションジェネレータやマルチメータ、スペクトラムアナライザや直流電源 等、様々な計測器を簡単に検索する事が可能です。
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