お客様からオシロスコープの引合いをもらいました!
いいね!
でもそもそもオシロスコープって何をするものですか?
オシロスコープは電気信号(電圧)の変化を時間軸上で波形として表示する計測器だよ。
身近なものだと家庭に来ているコンセントの50Hzや60Hzの振幅の波がイメージしやすいかな?
50Hzだと1秒間に50回振幅しているんだ。
1秒間に50回も!?すごく早いですね。
いやいや、オシロスコープで見るような信号は1秒間に何千万回も振幅したり、
0.000・・・1秒の時間しか出ない信号を観測したりするから
もっともっと速い事象を計測しないといけないんだよ。
そういえばお客様は 10メガヘルツのくらいの信号を見ると言っていました。
お!?ナイスヒアリング!
10M(メガ)Hzというのは1秒間に1000万回くらい振幅する信号の事だよ。
分かりました!じゃあ10MHzを計測出来るオシロスコープを紹介すればいいですね!
そうだね。オシロスコープは「周波数帯域」が機種選定の基本になるよ。
じゃあ、、、周波数帯域が10MHzのオシロスコープをお客様に紹介します!
ちょっと待った!
オシロスコープの周波数帯域はその周波数の信号を正確に計測出来る訳じゃないんだ。
え!?そうなんですか!?
オシロスコープの周波数帯域はその周波数のきれいな波(正弦波)を入力した場合に入力した信号の振幅(電圧)の約70%くらいが表示出来ていれば見えている事にしましょう。
というルールなんだ。
つまり周波数帯域10MHzのオシロスコープで10MHz/10Vの信号を計測すると約7Vで表示されるんだよ。
という事は誤差が30%あるという事!?
10MHz帯域のオシロで10MHzの信号は正確には計測出来ないんですね・・・
そうだね。最大で電圧の振幅が約30%減衰してしまうよ。
でも周波数が30%減衰するという事じゃないから注意してね。
あ、確かにそうですね。
1秒間に何百万回という振幅の速さである周波数はきちんと計測出来ているんですね。
正弦波と言われるきれいな波の波形であれば周波数はきちんと計測出来ているはずだよ
でもやっぱり振幅が30%も下がるのはきちんと計測出来ていない気が・・・
周波数帯域ってすごく分かり辛くて不親切ですね。
そうだね。
元々オシロスコープは電圧を正確に計測する為の計測器では無く、高速に変化する信号を見る為の計測器なんだ。
今日のお客様は10MHzの波形を見たいんだよね?
そう仰っていました。
ではその見たい波形が正弦波だとしてみよう。
それを見る意味は?
分かりませんが、、、理想的な正弦波になっているかどうか・・・?
そこが今回の重要なポイントなんだ。
理想的な正弦波の判断基準は人によってばらばらで、理想値から数%でもずれていたらNGと判断する場合もあれば正弦波っぽい形が出ていればOKという事もよくある。
同じ10MHzの信号を見る人でも前者であれば100MHz以上の帯域のオシロが理想だけど後者であれば10MHzのオシロでも足りる可能性がある。
同じ10MHzの信号を見るはずなのに目的によって必要な周波数帯域は10倍もの差が出てくるんですね。
その通り!
見たい信号の周波数が決まっている場合はね。
でも本当に難しいのは、見たい信号の周波数が分からない場合なんだ。
見たい信号の周波数が決まっていない事があるんですか?
オシロスコープは電気製品や基板の異常や不具合の原因を見つけるために使われる事の方が多いんだ。
例えば10MHzの正弦波信号に突発的な異常波形が出ていたとする。
仮にこの異常波形を50MHzの正弦波だと仮定するとこの異常波形を見つける為には何Hzの周波数帯域のオシロスコープが必要かな?
先程のお話だと30%減衰しても良いなら50MHzのオシロスコープで見つけられるはずです。
じゃあ異常波形の周波数は最大でどれくらい高い周波数になるだろうか?
え!?それは分からないですね。どんな不具合があるか分からないからどんな周波数の不具合信号が出るか分かりません。
その通りなんだ。
不具合や異常の発生時には、どんな信号が出ているか分からないからオシロスコープを使って電気信号を可視化するんだよね。
当然、あらかじめ異常波形の周波数を決める事は出来ないよね。
だから、このパターンの機種選定ではオシロの周波数帯域以上の信号は発見出来なくなる。と割り切った考えでオシロスコープの周波数帯を選ばざるを得ないんだ。
少し大雑把にまとめると
10MHzの周波数帯域のオシロスコープは、
「10MHzの正弦波を見つける事は出来る」
「10MHz以上の信号が出た場合は見えなくなる可能性がある」
「10MHzの信号を正確に計測したい場合は5倍~10倍の周波数帯域が必要」
っていう感じかな。
なるほど!よく分かりました!
じゃあ今回ご紹介するオシロの周波数帯域は・・・
もしお客様の方でそれでも決められない場合は基本的には5~10倍の帯域を推奨します。
オシロスコープメーカー各社も測定信号の5倍~10倍の帯域を推奨しているよ。
測定信号の5倍~10倍の周波数帯域のオシロを選べば正弦波を計測した場合に振幅誤差(減衰)は1~2%に抑えられるし、
測定信号の以上の周波数の異常波形が出ていたとしても発見出来る可能性があがるからね。
わかりました!
とにかく今日伝えたかったのはオシロスコープの周波数帯域は、測定対象の周波数だけでは無くお客様の目的に合わせてご提案する事が大切という事。
正確な計測や不具合信号の発見などが目的の場合には余裕を持った帯域を選ぶこと。
お客様とお話しするときには覚えていてね。
それからオシロスコープを探すときには計測器検索.comが便利だよ。
周波数帯域と必要なch数を入力すればそれを満たす色々なメーカーの製品がリストアップされるんだ。
本当だ!メーカーでも絞り込めるし参考価格も掲載しているのでお客様の予算に最適な製品がすぐに見つけられそうです!!
最適な機種をお客様へ提案してみます!
今回は正弦波をベースに話をしているけど実は正弦波を見る事はそんなに多くは無いんだ。
例えばパルス波形などの計測ではこれまでの周波数のお話とは全く変わってくるので注意してね。
パルス計測時のオシロスコープの選び方はまた今度。
お願いします!!
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